研究課題/領域番号 |
16590376
|
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
櫻井 純 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (80029800)
|
研究分担者 |
永浜 正博 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (40164462)
小林 敬子 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (90170315)
津下 英明 徳島文理大学, 健康科学研究所, 教授 (40299342)
|
キーワード | ウエルシュ菌 / α毒素 / セレウス菌 / スフィンゴミエリナーゼ / 結晶解析 / 溶血 / 二価金属イオン / リン脂質 |
研究概要 |
Co^<2+>及びMg^<2+>との共結晶化に成功し、セレウス菌スフィンゴミエリナーゼ(Bc-SMase)のX線回析により構造解析した。Co^<2+>と共結晶したBc-SMaseには、唯一のクレフトが存在し、その中央に二個(AサイトとBサイト)のCo^<2+>が結合、そして、Mg^<2+>の共結晶の場合、Aサイトにのみ一個の金属イオンが結合していた。さらに、クレフトから離れた位置に、いずれの場合も、一個の金属イオンが認められた。Aサイトにおいて、金属イオン中心にアミノ酸残基と水分子が正八面体を示し、互いに完全に重なった。一方、Bc-SMaseの金属イオン存在下における酵素活性をカイネティク分析すると、Km、Vmaxは、ほとんど金属イオン間で相違が認められなかった。Co^<2+>との共結晶Bc-SMaseのクレフトにスフィンゴミエリン(SM)をコンピュータ上の計算で挿入すると、AサイトとBサイトのCo^<2+>の間にSMが挿入され、そのリン酸エステルの酸素原子が両金属イオンに接近すること、さらに、その真下に存在する水分子が救核攻撃する位置にあることが判明し、従って、金属イオンがその酸素原子の電子を引っ張り、水分子が救核攻撃すると、リン酸エステルが切れて、セラミドとホスフォリルコリンを生成する反応機構が明らかとなった。次に、Bc-SMaseには、可動性の突き出したβヘアピン構造があり、疎水性のアミノ酸残基が多く存在している事が明らかとなった。このヘアピン構造の先端のアミノ酸残基をアミノ酸置換し、結合と酵素活性を分析すると、いずれも、著しく低下することが判った。さらに、真核細胞のSMaseには存在しないこと、さらに、溶血作用を有する細菌由来SMaseには存在することを考慮すると、SMの脂肪酸側鎖に特異的に結合して酵素活性の基質との結合並びに膜破壊時の膜への結合に重要な役割を演じていると考えられる。従って、α毒素と同様に、SMase活性、溶血活性を有するにも関わらず、三次元構造は、全く異なることが判明した。
|