S.sonneiを用いて培養細胞への感染実験を行った。ospE2遺伝子破壊株を作製し、これにベクターもしくはospE2(もしくはospE2-HA)発現プラスミドを導入した株をHeLa細胞およびHep-2細胞に感染させ、免疫染色による蛍光観察を行った。ospE2破壊株ではHep-2細胞を宿主としたプラーク形成能の低下が認められた。また、ospE2破壊株は、野生株に比べ、それが侵入したHeLa細胞およびHep-2細胞に対して、宿主細胞の形態変化(rounding)を引き起こした。このプラーク形成能の低下およびroundingの誘導は、ospE2遺伝子の導入によって相補された。宿主細胞のroundingの誘導はmxiE破壊株においても観察された。OspE2-HA融合タンパク質は、感染細胞において菌体外に存在し、細胞接着斑様の細胞内局在を示した。このOspE2-HA局在部位はアクチンストレスファイバーの終結部位と一致し、また、細胞接着斑に存在することが知られているTalinおよびFAKの局在と一致することが観察された。以上の結果は、OspE2が赤痢菌の宿主細胞への侵入後にその細胞内に分泌され、細胞接着斑に局在することで感染細胞の形態維持に関与することを示唆している。
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