IL-10-producing regulatory B cellが自己免疫性の炎症の抑制に関与しているという報告がなされてきている。また、がんにおいてはIL-10により免疫防禦機能が抑制されることにより腫瘍細胞の排除ができない状態になっていることが報告されてきている。したがって、IL-10産生制御機構を解明しIL-10による免疫抑制の解除や活性化を制御していくことは、腫瘍免疫や自己免疫疾患における病態の解明・診断および治療法につながっていくと考えられる。GGPLsは生体の炎症シグナルにも深い関わりを持つコリン含有リン脂質と類似構造をしている。Phosphatidylcholineやsphingomyelinは細胞膜成分であるとともに炎症シグナルの基質。Platelet avtivation factor((PAF)やsphingosylphosphorylcholineは、活性脂質で炎症に関与している。TNF-αはphospholipase Cの活性に影響を与え、PLCはphosphatidylcholineをphosphorylcholineとdiacylglycerolに分解し、sphingomyelinaseはsphingomyelinをphosphorylcholineとceramideに分解する。GGPLsがこれらのコリン含有脂質と構造類似性があることから、炎症シグナルと増殖シグナルに対して作用し関節リウマチにおける病態の原因になっていると考えている。このマイコプラズマ由来糖脂質についてすでに有機化学合成に成功し、より細かくデザインされた構造類似体も準備できており、これらを用いた解析を進めている。
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