研究課題/領域番号 |
16590382
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
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研究分担者 |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (70158913)
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キーワード | アデノウイルスベクター / 部位特異的組換え酵素 / Cre / loxR / FLP / FRT / 遺伝子置換反応 |
研究概要 |
近年多くの基礎研究に応用されているアデノウイルスベクターの効率的な新規作製法の開発に向け、本年度は部位特異的組換え酵素の遺伝子置換反応を応用した作製法の効率と精度について解析を加えた。この作製法には、ウイルスパッケージングシグナル(Ψ)を組換え酵素の本来の標的配列(wt)で挟み、その下流に遺伝子と標的配列とは組換えを起こさない変異型標的配列(mt)を挿入したrecipientウイルスとΨと目的遺伝子をwtとmtで挟んだdonorプラスミドを用いる。この両者を組換え酵素発現293細胞に導入すると、293細胞内で複製しているrecipientウイルスゲノム上にdonorプラスミドからΨと目的遺伝子が置換され、目的ウイルスが生成する。recipientウイルスの混入はΨの両側に挿入されたwtにより最小限に抑えることが可能である。この置換効率の最適化には、高い活性を有する組換え酵素発現293細胞の樹立化、recipientウイルス、donorプラスミドの導入量の検討が必要である。本研究ではまずCreを用いてE1置換型ベクターの作製を行った。目的遺伝子としては生成の確認が容易なGFPを選んだ。その結果、本研究で作製したCre発現293細胞は、今までの報告と同様に約80%と高い組換え効率を示した。またrecipientウイルスに挿入する遺伝子として、ウイルスパッケージングサイズのほぼ上限のLacZとGFPとほぼ同サイズのFLPを挿入したウイルスを作製し、目的ウイルス生成効率を比較したところ、LacZの方がFLPよりも効率が高いことが判明した。recipientウイルスの感染量はMOI 0.5〜1.0、donorプラスミドは3μgが至適であり、最適化された条件化では、わずか3回のウイルス継代で約90%が目的ウイルスであった。また置換反応の精度に関しては、donorプラスミドに挿入したmtを持っているものと持っていないもの(Δmt)を用いてGFP発現ウイルスの生成の有無を調べた。その結果、Δmtを用いたものでも3回目の継代からわずかにGFP発現細胞が確認された。
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