研究課題
肝癌は我が国の癌死の第3位を占める肝臓細胞癌の原因のほとんどがC型肝炎による。原因ウイルスであるC型肝炎ウイルス(HCV)のコア蛋白質はその脂肪肝および肝細胞癌発症に深く関わっている。本研究では、HCVコア蛋白質の成熟過程と病原性発現機構の詳細を明らかにし、宿主蛋白質を標的とした新規治療法開発の基盤確立を目的としている。1)PA28γによるコア蛋白質の成熟過程への影響RNA干渉によるPA28γ発現抑制のために、PA28γに対するsiRNA標的遺伝子配列をU6プロモーターで発現することによって決定し、培養細胞におけるPA28γの発現を大幅に抑制することに成功した。この細胞を解析したところ、翻訳後の修飾あるいは転写調節による脂肪合成および細胞増殖に関与する蛋白質の増減が観察された。また、これら細胞にコア蛋白質を発現したとき、両者で発現されているコア蛋白質の分子量に違いが認められなかった。E1の糖鎖付加に変化が認められなかったことから、E1のトポロジーには影響しないものと思われた。コア蛋白質とE1蛋白質はウイルス粒子を形成するために必須の構造蛋白質である。粒子形成をする際、E1の膜貫通領域を介して、コア蛋白質は結合することが予想され、その結合にはコア蛋白質量体形成が重要であることがわかった。2)PA28γの相互作用因子の同定。ライブラリースクリーニングによる単離同定を試みたが、コア蛋白質との結合に関与する蛋白質は見つからなかった。3)SPPおよびPA28γに対する発現調節に対するコア蛋白質の活性調節ヒト細胞内のSPPによる膜貫通領域の切断部位をMALDI-TOF/MSで同定した。また、SPPによる切断によってコア蛋白質の細胞内画分に変化が認められた。PA28γに対する標的配列を決定し、Short hairpin RNAによるPA28γの発現調節を培養細胞レベルで行った。その結果、PA28γ発現およびコア蛋白質の発現に伴って、核内プロテアソーム活性が上昇していることが分かった。
すべて 2005
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