研究課題
基盤研究(C)
EBウイルスはヒトB細胞に潜伏感染し宿主に終生住み着くヘルペスウイルスであり、免疫抑制時に潜伏していたEBウイルスが様々の疾病や腫瘍の原因となると考えられる。本研究は、潜伏感染成立に必須のウイルス核蛋白EBNA-2、EBNA-LPに焦点を絞り、各核蛋白の機能解析を通してEBウイルス潜伏感染の機構解明を目的とした。すでに我々は、EBNA-2が転写活性化因子としてウイルスや細胞の遺伝子を活性化し、EBNA-LPはEBNA-2の転写活性化を促進する補因子機能を持つことを報告、そのメカニズムの解析過程でEBNA-LP自体の多量体形成能とEBNA-2との相互作用能を見いだした。詳細解析の結果、EBNA-2の酸性アミノ酸領域とEBNA-LPの作用が重要であることを明らかにして、両核蛋白の相互作用が協調的転写活性化の基になっていることを初めて実験的に証明した(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2004)。さらに、野生型の転写活性化補因子機能に対しドミナントネガティブ効果を持つEBNA-LP変異体を発見し、16年度には変異体を誘導発現するEBウイルス感染細胞を樹立した。17年度は、樹立細胞の細胞増殖などの特徴および宿主細胞遺伝子の変化を検索した。細胞周期G2/M期の遅延や、mycなどいくつかの細胞遺伝子の発現や活性の変化を示す興味深いデータを得てEBNA-LPが感染細胞増殖に正の働きをしていることを初めて実験的に示した。(投稿準備中)。ウイルス遺伝子ノックアウトなどの手法がとれない特殊事情を持つEBNA-LPのドミナントネガティブを使うことによっで機能解析を可能にした点は画期的である。また、本邦健常人のEBNA-2に対する抗体の保有状況を年齢別に詳細に検討した結果をまとめ、高年齢層の再活性化を示唆するデータを得た(Clin.Diag.Lab.Immunol.,2004)。さらに、核蛋白EBNAの単クローン抗体を複数作製し、機能解析における有用性を証明した(Arch.Virol,2005他)ほか,EBウイルス検査などの有効な手段として特許出願を行った
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