研究概要 |
ヒト腫瘍性ウイルスであるヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8またはKSHV)がコードするウイルス型IRF(viral interferon regulatory factory, vIRF)のもつ抗インターフェロン活性の分子機構を明らかにする目的で以下の実験を行った。 (I)vIRF1の機能ドメインの同定 vIRF1は、細胞性IRFとアミノ酸配列が類似する領域を有し、N末端側よりプロリン残基に富むドメイン,DNA結合ドメイン,転写活性化ドメインの各ドメインに分けられる。しかし、vIRF1のもつ抗IFN作用における各ドメインの役割の詳細は不明である。そこで、vIRF1遺伝子において抗IFN活性を示すために重要な領域を同定することを目的として以下の実験を行った。(1)複数の欠失変異型vIRF1を発現するプラスミドを構築した。(2)上記発現プラスミドを用いて、IFN反応性を示す特徴的な配列GAS(IFN-γ-activated sequence)およびISRE(IFN-stimulated response element)を含むプロモーターの活性化を指標としたルシフェラーゼアッセイを行い、抗IFN作用に重要な領域の同定を試みた。 (II)野生型および変異型vIRF1を発現するヒト細胞株の樹立 vIRF1に会合する宿主蛋白質を同定するために、ヒト細胞株へHistidineタグを付加した野生型および変異型vIRF1遺伝子の導入を行っている。今後、各遺伝子の導入および発現誘導を確認した後、この細胞から総蛋白質を抽出し、Ni-NTA(nickel-nitrilotriacetic acid)agarose column法を用いてvIRF1の機能ドメインに会合する細胞性蛋白質の検索を試みる予定である。
|