研究課題/領域番号 |
16590410
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
小端 哲二 獨協医科大学, 医学部, 教授 (10205445)
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研究分担者 |
小嶋 英史 獨協医科大学, 医学部, 講師 (40322408)
櫻井 大祐 獨協医科大学, 医学部, 助手 (30382964)
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キーワード | BAFF / BAFF-R / TACI / 補助刺激 / NF-κB / アポトーシス |
研究概要 |
免疫応答の主要なエフェクター機構である抗体産生系では、B細胞が抗原認識後、細胞死に陥ることなく活性化し抗体産生細胞や記憶B細胞に分化成熟する。これらの過程は種々の分子によって制御されている。TNFファミリー分子の一つであるBAFF(B cell activating factor from the TNF family)は、抗原提示細胞由来の新規B細胞補助刺激分子として注目されており、T細胞非依存性にB細胞の活性化、分化、生存を制御している。本年度は、ヒトBAFFの活性化型受容体BAFF-Rと抑制型受容体TACIに対するアゴニスト単クローン抗体を作製し、その作用機序を解析した。その結果、1)抗ヒトBAFF-Rアゴニスト単クローン抗体(8A7)は、B細胞の増殖、IgG産生そしてNF-κB2活性化を誘導した。2)抗ヒトTACIアゴニスト単クローン抗体は、8A7抗体により誘導されたB細胞増殖を有意に抑制した。3)11H3抗体は、8A7抗体により誘導されたB細胞IgG産生を有意に抑制した。4)11H3抗体は、8A7抗体により誘導されたNF-κB2活性化を有意に抑制した。5)11H3抗体は、B細胞アポトーシスを誘導した。以上の結果より、BAFF-RによるB細胞活性化シグナルをTACIは少なくともNF-κB2の転写因子レベルで抑制する事が示唆された。また、TACIはB細胞アポトーシスを誘導できることが明らかとなった。したがって、BAFFはBAFF-Rを介する正のシグナルとTACIを介する負のシグナルを通してNF-κB2の活性化とB細胞アポトーシスを制御し、その結果、B細胞応答を調節しているようである。BAFFとその受容体は自己免疫疾患、B細胞性腫瘍や原発性免疫不全症の発症との関連性も指摘されている。本研究成果はB細胞応答異常のみられる免疫病の人為的制御のための基盤的データとなり、BAFFとその受容体が抗体医薬を含めた新たな創薬開発の際の標的分子となる可能性を示唆している。
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