2年前の科学研究費申請の段階において、ゼブラフィッシュのCCケモカインとして報告されていたのはCCL1のみであった。しかし、その後の我々の解析の結果、ヒトやマウスで報告されていたCCケモカインのホモログもゼブラフィッシュで多数存在していることが判明した。受精後胚を(1)胞胚期後期(30%被包期;4hpf)、(2)原腸胚期(70%被包期;8hpf)、(3)分節期(3-6体節期;10-12hpf)、(4)咽頭期(prim-5期;24hpf)、(5)咽頭期(prim-25期;36hpf)、(6)孵化期(long-pec期;48hpf)の各段階で調整し、新規のケモカイン遺伝子の発現を解析したところ、多くのCCケモカインホモログがこの時期に発現していることが判明した。当初、CCL1に強く興味を持ったのは、このケモカインの遺伝子発現が、ゼブラフィッシュ胚の3〜6体節期(受精後10〜12時間)をピークに受精後36時間頃まで発現し、その時期がゼブラフィッシュでの血管及び血球形成組織である内部細胞塊(ICM ; internal cell mass)の形成時期と一致していたからであった。我々は、これら発生初期遺伝子群の中から新規CCケモカインホモログを多数クローニングした。このことは、これらCCケモカインが発生の初期段階で組織あるいは器官形成に何らかの役割を担っている可能性を示唆しており、CXCケモカインのSDF-1のみが器官形成で報告されている中で、新たな知見を与えるものである。現在、これらのそれぞれの遺伝子についてホールマウントin situハイブリダイゼーションを施行中である。
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