平成17年度は引き続きランダムミュタジェネシスで作製したミュータントマウスの表現型スクリーニングを進めると同時に、GALT形成異常の表現型を認めた個体、あるいは家系の遺伝性確認と再生産を行った。具体的には以下の通りである。 1.平成17年度中には成体24家系、胎仔30家系についてスクリーニングを行った。この間にGALT形成異常ミュータントとしては成体でパイエル板のサイズが大きくて胚中心の形態が不明瞭なものを1系統、胎仔ではパイエル板原基形成不全を6家系のスクリーニングで発見し、そのうち4家系では同じ表現型を複数認めたのでこれらを系統として記録した。 2.平成16年度に発見したパイエル板原基形成不全マウス2系統についてheteroマウス同定のための再生産を施行し、現在ランダム交配を行っている。 3.成体のパイエル板形成不全動物においては末梢血中のMHC発現低下がその指標となるので、該当するマウス家系を再生産している。 上述の新しく発見したミュータントに関しては系統化を進めると同時に変異遺伝子同定のためのマッピングも進めていく予定で交配の準備をしている。交配に関してはENUを投与したとC57BL/6マウスと大きく遺伝背景の異なるC3H/HeJマウスを用いて雑種交配で再びhomoマウスを表現型チェックで同定し、SNP比較を用いたラフマッピングにより遺伝子位置を同定する。この方法で研究期間中に偶然発見したアトピー性皮膚炎モデルマウスやマルファン症候群モデルマウスについては遺伝子位置を同定、後者については変異遺伝子も同定していることからGALT形成異常マウスについても今後速やかな遺伝子変異が達成できるものと考えている。
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