必修化された初期研修の評価法の開発のために、米国内科専門医機構の作成した質問紙を用いて研修医への患者満足度を調査し、研修の評価に、患者による評価を用いることの信頼性・妥当性を検証する。そして教育スタッフ、医療チームだけでなく患者の評価をも加味した、施設の研修の質・研修医の到達度の"360度評価"を可能とする評価法を作成する。 調査方法は、H17年度は、主として研修医が外来診療を担当した外来患者を対象に調査を行った。16歳以上の外来初診患者に研究支援者が日本語版ABIM-PSQの趣旨を説明し、了解が得られた場合には記入を依頼、回収する。また満足度の影響する背景として、患者の年齢・性別、職業の有無などの特性とともに、疾患、重症度、研修医の担当期間を調査する。承諾が得られなかったばあい、意識障害・精神疾患、重篤な状態の患者と判断された場合は除外する。現在のところ22名の研修医に対する450名の患者からの満足度スコアと、指導医の評価が得られている。指導医の評価法は試行段階であるため数種の質問紙を使用しているが、現在のところ米国イリノイ大学が開発した臨床能力評価スコア(RIME)が最も簡便で負担が少ないことがわかってきた。 本年度は研究最終年度であるため、臨床研修医のPSQの数を増やし、各種信頼性の検証を行う。そして、研修医ごとに平均化されたスコアを指導医、医療チームによる研修評価、自己評価などその他各種の評価指標との間では、妥当性だけでなくそれらの関係を検討し、評価の特性を明らかにする。そして患者による研修医評価の意義と、研修の360度評価の方法について検討する。
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