研究概要 |
平成17年度は以下の点を明らかにした。 1.ウロコルチンII(UcnII)は新規ペプチドホルモンであり、コルチコトロピン放出因子(CRF)の2型受容体(CRF2R)に特異的に結合し、ストレス反応抑制作用、血圧低下作用等を有する。また、CRF2Rノックアウトマウスは高血圧を自然発症することが報告されている。ウロコルチンIIの遺伝子多型を健常者100名を対象として検討した。結果、データベース上報告されている多型以外に新規に1多型(899T/C(X89Q))を発見した。血圧との関連を大迫一般地域住民650人で検討した結果、899T/C変異を持つ者は確認されなかった。3‘末端の反復多型(Rs6147814 I/D)は、高血圧との間で有意な関連を認めなかった。(未発表) 2.ウロコルチンIII(UcnIII)(別名ストレスコピン)はUcnIIと同様にCRF2Rに特異的に結合し、ストレス反応抑制作用、アルコール摂取抑制、食欲抑制、血圧低下作用等を有する。UcnIII mRNAの発現をヒト副腎腫瘍において検討した結果、正常副腎に比べ,神経芽腫及び褐色細胞腫で遺伝子発現が増加し,原発性アルドステロン症及びクッシング症候群で遺伝子発現が減少していることを見出し、報告した。(Peptides 27:178-182,2006)。 3.ウロコルチンIIIの遺伝子多型と血圧及び降圧治療薬の効果・反応性との関連を1826名を対象として検討した。結果、血圧データが揃っている513人において、R91G多型のGG群はRR群+RG群と比較して外来時血圧で有意に低い血圧値を示すことを見出し、UcnIIIは白衣効果に関与している可能性が示唆された。服用している降圧治療薬の効果・反応性との間に有意な関係は認められなかった。(2005年米国腎臓学会にて発表)
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