研究概要 |
本研究では、高血圧関連物質の遺伝子多型と高血圧及びその治療薬感受性との関係を検討した。結果、以下のような成果を得た。 1.レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系:アンジオテンシンIIの1型受容体(AT1R)のA1166C多型と高血圧との関係を検討した。結果、AT1R/A1166C多型は白人とは異なり、日本人では高血圧を発症する主要な因子でないことが判明した(Hypertens Res 27:551-556,2004)。本遺伝子多型と降圧治療薬感受性との関連は認められなかった。 2.ウロテンシンII(U II)及びウロテンシンII関連ペプチド(URP):強力な血管収縮作用を持つU II及びURPの遺伝子多型の検討を行い、U II遺伝子多型が血圧調節に関与している可能性が示唆された(2006年日本腎臓学会総会にて発表)。本遺伝子多型と降圧治療薬感受性との関連は認められなかった。 3.アドレノメデュリン2:アドレノメデュリン2の遺伝子多型を検討した結果、rs3840963 I/D多型にてID群+DD群はII群と比較して心疾患の有病率が約3倍であることを見出した(P=0.02)。(未発表) 4.ウロコルチン(Ucn)ファミリー:ウロコルチンIIの遺伝子多型を検討した結果、反復多型(rs6147814 I/D)は、高血圧との間で有意な関連を認めなかった。ウロコルチンIIIのR91G多型を検討した結果、UcnIIIは白衣効果に関与している可能性が示唆された(2005年米国腎臓学会にて発表)。UcnII及びUcnIIIの受容体CRF2Rの遺伝子多型を検討した結果、1個のVNTRを見出し、Long allele群で夜間収縮期血圧が有意に高いことを見出した(P=0.002)。降圧治療薬の効果・反応性との関連は認められなかった。(未発表)。
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