研究概要 |
研究I.薬物の副作用既往歴に関するアンケート調査 人間ドック受診者を対象とした副作用既往歴調査への回答者2,074のうち、約10人に1人が副作用を経験し、25人に1人は重症例で、4人に1人は副作用を再発していた。再発症例の4分の3で回避もしくは軽減が可能であった。副作用既往例全体のみならず、重症例、再発例においても起因薬物名を知っていたのが半数以下であったことが、副作用予防・回避に関する最も重大な問題点であった。これらの結果をもとに、副作用既往歴聴取と患者教育の重要性について啓発活動に努める。 研究II.薬物代謝酵素の遺伝的多型と副作用発現に関する研究 上記対象者中、cytochrome P450 (CYP) 2D6基質薬物のうち使用頻度の高い抗ヒスタミン薬の副作用歴を有する100名を抽出してCYP2D6遺伝子型を判定した。その結果、CYP2D6*10が日本人における抗ヒスタミン薬の副作用発現の危険因子となることを示し、他のCYP2D6基質薬物による副作用発現にも関与する可能性を示唆した。 また研究I・IIの両方で、女性の副作用既往頻度が男性の倍以上であったことから、女性における副作用発現機構の解明と予防の必要性を提唱する。 研究III.薬物代謝酵素の遺伝的多型と疾患感受性に関する研究 40〜50歳代の人間ドック受診者のうち同意を得られた129例(男性93例、女性36例)を対象として、血清xanthine oxidase (XO)活性値と臨床情報について解析した。その結果、血清XQ活性はmetabolic syndrome (MS)の診断基準項目数が増えるにつれて有意に上昇し、MS診断項目の中でも特にtriglyceride値と強く和関することを明らかにした。 また、CYP2D6遺伝子型と酸化ストレスマーカーの関係についても興味深い結果を得て、解析中である。
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