研究概要 |
1.虚血再灌流細胞死であるTunelアポトーシス細胞(apo)の産生を、合成されたNa-H交換阻害薬(NHEI)が抑制した。これらNHEIが90%以上のLVDP回復を示し(無投与30%)、心筋障害に有効であることが示された。両者には活性酸素消去能、apo生成阻止作用およびミトコンドリア(Mit)へのCa取り込み(Cam)において差が認められたことを報告した(Eur. J. Pharmacol.2004)。 2.続いて、5HT_<2A>拮抗薬(Mol. Cell. Biochem.2005)および合成された5HT_<1A>拮抗薬も抗虚血作用(90%以上)を示し、活性酸素消去、Camの減少、apo細胞、関与するcaspase3の生成阻止を示した(Eur. J. Pharmacol.2006)。更に強迫性障害に臨床応用されている5HT再取り込み阻害薬(SSRI)も90%以上のLVDPの回復を示し、虚血再灌流障害には5HTの大きな関与が示された(Life Science投稿予定)。 3.灌流Mit標本での灌流液のpH, Ca濃度の変化による急激なMitへのNa^+, Ca^<2+>取り込みは、Mit permeability transition pore(MPTP)のopener, Atractylosideで同様にMitへCa^<2+>は取り込まれ、MTPTのblocker, Cyclosporin Aあるいは抗虚血作用を示したNHEIやNa-Ca交換阻害薬(NCXI)により抑制された(Eur. J. Pharmacol.投稿予定)。これらのことから虚血再灌流障害にはNa^+, Ca^<2+>の関係するMPTPの大きな関与が示された。 4. NOを放出するKチャネルオープナー(Ther. Res.2005),緑茶カテキン(Eur. J. Pharmacol.投稿中、Life Science投稿予定)、およびビールに含まれる環状ジペプチドも高い抗虚血作用を示し、MitへのCa^<2+>の取り込みの抑制、活性酸素消去、apo細胞、関係するcaspase3の生成阻止を示した。 5.生体用L-Type ESR中に灌流ランゲンドルフ心臓を設置し虚血再灌流中のラジカルの変化を測定し、生体における酸化還元反応について考察できた(J. Pharmacol. Sci.2005)。 今後、この生体における反応をMitレベルでのapo細胞の発生経路をなどとの関連に結びつける。
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