1)尿中タムタンパク・アルブミン複合体の検査法の確立のための基礎的検討 (タムタンパク測定法の確立) 尿中タムタンパク・アルブミン穫餐法の確立の基礎的検討として、タムタンパクの検査法を確立した。測定法にはELISA法を採用した。タムタンパクの濃度測定は尿の希釈条件の違いにより結果に影響を及ぼすので、至適希釈緩衝液を検討した結果、PBS緩衝液を用いて希釈した場合が最も感度よく、再現性があることを確認した。そのほか希釈倍率、界面活性剤など、至適条件を確立するために、用いる試薬の種類、濃度などの検討をおこなった。ペルオキシダーゼ系の反応を最終的に利用し測定感度をあげるため、高感度色原体を用いた。 2)種々腎疾患患者尿での尿中タムタンパク測定 基礎的検討を行った尿中タムタンパク酵素免疫測定法により、インフォームドコンセントを得た健常者、種々腎疾患患者から収集した尿サンプルについて測定分析した。その結果、尿路結石患者において、結石の形成には尿中タムタンパクの存在が非常に重要であることがわかった。また尿中アルブミンがその形成に関与していることもわかった。 またIgA腎症未治療患者において、治療患者よりも尿中タムタンパク濃度が高いことがわかった。IgA腎症未治療患者尿のセルロースアセテート膜電気泳動でアルブミンバンドの伸張がみられるが、THP/アルブミン比が治療後群や非IgA腎症群より有意に高値であることが確認され、この現象も尿中タムタンパク濃度に関連していることがわかった。
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