1)尿中タムタンパク測定条件設定 尿中タムタンパク濃度測定において、再現性良くかつ測定可能な濃度範囲を広くするために測定時の諸条件を再検討した結果、希釈に蒸留水を用いると塩濃度によるタムタンパクの重合を防ぐことが出来、かつ再現性も得られたため、蒸留水による尿の希釈を行うこととした。 2)健常人尿中タムタンパクの測定 我々が構築したサンドイッチELISA法にて、健常人の尿中タムタンパク濃度を測定し、健常人の尿中タムタンパク排泄の動態解析を行った。1日の排泄量は男女ともに50〜100mg/dayで、性差は見られなかった。また1時間あたりの排泄量は、採取時間が異なっていてもほぼ一定であることが分かり、1時間あたりの排泄量を24倍すると概ね1日排泄量と一致した。このため尿中タムタンパク測定における尿の採取条件は1時間尿を用いることで比較できることが分かった。 3)尿路結石患者の尿中タムタンパク、アルブミンの測定 健常人と同様に、尿路結石患者においても尿中タムタンパク排泄の動態解析を行った結果、1時間あたりの排泄量はほぼ一定していることが分かった。尿路結石患者の尿中タムタンパクの排泄量は健常人よりも少なく、それに対してアルブミン濃度は健常人よりも優位に高くなっていた。これらの結果から、尿中タムタンパクの測定は尿路結石患者の経過観察に用いられる可能性が示唆された。 4)糖尿病患者の尿中タムタンパク、アルブミンの測定 糖尿病患者尿では抗体と反応しない免疫非応答性アルブミンが存在し、タムタンパクの存在が何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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