研究概要 |
研究テーマ1)であるフィブリノゲン(Fbg)γ鎖D領域の立体構造の維持におけるγ鎖内S-S結合の重要性の研究においては,153Cys,182CysをAlaに変異させたベクターを導入してFbgを産生させた細胞では,細胞外へのFbg分泌が認められなかった.特に153Cysを用いた実験では,この異常γ鎖は正常γ鎖と異なり,正常なAα鎖あるいはBβ鎖とそれぞれAαγあるいはBβγ複合体を形成することができないために,細胞内でFbg分子への組み立てが行われない.このためにFbgが細胞外へ分泌されないことが明らかにできた(Terasawa論文として報告).また,326CysをAlaに変異させたベクターを導入した細胞では,正常γ鎖ベクターを導入した細胞に比較して細胞内でのFbg組み立てと細胞外へのFbg分泌がいずれも著しく低下していた.一方,339CysをAlaに変異させたベクターを導入した細胞では,正常γ鎖ベクターを導入した細胞に比較して,細胞内でのFbg組み立ては同程度であるのに比較して,細胞外へのFbg分泌が著しく低下していた. 研究テーマ2)であるFbgγ鎖D領域の立体構造の維持におけるγ鎖387Ileの重要性の研究においては,387IleをArg, Leu, Met, Alaに変異させたγ鎖ベクターを導入した細胞では,正常のものと同様にFbgを組み立て・分泌することがあきらかになったが,387IleをAspに変異させたものでは,正常γ鎖ベクターを導入した細胞に比較して細胞内でのFbg組み立てと細胞外へのFbg分泌がいずれも著しく低下していた.
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