研究分担者 |
小嶋 哲人 名古屋大学, 医学部, 教授 (40161913)
高木 明 名古屋大学, 医学部, 助手 (30135371)
鈴木 元 名古屋大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80236017)
坂野 喜子 岐阜大学, 医学部, 助教授 (50116852)
野澤 義則 岐阜県国際バイオ研究所, 所長 (10021362)
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研究概要 |
今回の研究では,抗SPHK1抗体を用いてSPHK1がラットの中枢神経系にも存在していることを確認し,さらにその機能解析と遺伝子発現調節機序の解析を行った。結果及び考察:ウエスタンブロット法によりラット脳とPC12細胞ではともにSPHKが発現していた。ラットSPHK1遺伝子には6つのエクソン1が報告されているが、半定量RT-PCR法による解析から,ラット脳でSPHK1 exon1dとexon1aが発現していることが確認できた。PC12細胞を用いた解析では,NGFはSPHKの酵素活性の上昇を誘導し,SPHK1タンパクレベルをコントロールの約2倍に,メッセージレベルを約4倍にした。この細胞ではexon1dが主に用いられていたので、exon1dの5'プロモーター領域の解析を行った。PC12細胞にてSPHK1dの転写開始点を5'RACE法により決定後,exon1dのプロモーター領域約4kbをクローニングし,転写活性を測定した。レポーターアッセイの結果から,NGFにより,SPHK1 exon1dのプロモーター活性は約6.1倍に上昇した。種々の阻害剤を用いて,NGFがSPHK1の転写活性を上昇させる経路を調べた結果,PKCとERKがSPHK1の遺伝子発現に関与していた。この領域を詳細に解析するために種々の長さのdeletion mutantを作製し,プロモーター活性を測定した。転写活性に必要な領域は,領域内のAP-2と2つのSp1結合領域を含むexon1d上流50bpで十分であった。EMSAによる解析により,近位側Sp1結合領域がSp1タンパクと結合し,NGF誘導性のSPHK1 exon1d発現の上昇に関与していた。PC12細胞をNGF処理するとSp1自体の発現が増加することも確認できた。
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