研究課題/領域番号 |
16590455
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山村 卓 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (20132938)
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研究分担者 |
石神 眞人 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (10379266)
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キーワード | 高脂血症 / リポ蛋白 / レムナントリポ蛋白 / 動脈硬化症 / トリグリセリド / 食後高脂血症 / 血清脂質 / TG-richリポ蛋白 |
研究概要 |
近年、食後高トリグリセリド血症と動脈硬化症の関係が注目されている。食後高脂血症と動脈硬化性疾患発症との関連を検討するために、脂肪食負荷(30g)による血清脂質やリポ蛋白の変動を、正脂血を示す健常成人と高カイロミクロン血症患者において検討した。リポ蛋白の分析は、(1)超遠心法、(2)Superose 6HR 10/30カラム2本をFPLC装置にセットしたゲル濾過法、ならびに(3)TSKgel Lipopropak(東ソー)ゲル濾過カラムを2本直列に連結し、TSKeluent LP-1(東ソー)の溶離液を用いたHPLC法によって行った。健常者Aでは、食後5時間のトリグリセリドの値が負荷前の値を下回っている。これは活性化されたトリグリセライドの処理能力に余裕があり、脂肪食負荷によって血中に出現したTG-richリポ蛋白を速やかに分解し、そのまま、空腹時に存在したTG-richリポ蛋白分画まで、分解されたものと思われる。一方、健常者Bでは、トリグリセリドの処理能力に余裕がなく、負荷後5時間でようやくTG-richリポ蛋白の処理を終了した状況を示すものと思われる。このように健常成人の間にも年齢や空腹時の血清脂質濃度の違いによって、脂肪食負荷後のカイロミクロン、VLDLの上昇の度合いや、負荷前の値に回帰するまでの時間に違いが見られた。そのため、脂肪食負荷後の脂質の変動を調べることは、動脈硬化症疾患と食後高脂血症の関係を調べる上で、重要であると思われる。また、今回用いたリポ蛋白分析法ではレムナントリポ蛋白の分析は一定の限界が認められた。現在、協和メデックス株式会社と共同して新たなレムナントリポ蛋白分析法の開発を進めており、本法を用いてレムナントリポ蛋白の意義の解明を進めている。
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