研究概要 |
食後高脂血症は、レムナントリポ蛋白(レムナント)の蓄積を介する動脈硬化易発症病態として近年注目されている。一方、血中レムナント量を正確に測定する標準法は未だに確立されていない。本研究では、協和メデックス(株)と共同開発中の界面活性剤を用いたレムナントコレステロール(R-C)測定試薬を使用し、高脂血症患者においてレムナント測定、分析を試みた。脂肪負荷(30g/m^2)時血清および血清をゲル濾過後の各フラクション中のR-Cを測定し、ピークフラクションの蛋白・脂質組成を検討した。さらに抗高脂血症剤であるアトルバスタチン(10mg/day,4週間内服)によるR-Cの変化も検討した。脂肪負荷により、R-Cは一旦減少し、再上昇現象を示した。アトルバスタチンはこの再上昇現象を抑制し、ピークフラクションの脂質含量を減少させた。 現在、RLP-C測定法がレムナントリポ蛋白を反映する唯一の定量法とされている。しかし、この測定方法は免疫吸着法を利用しているため測定に手間がかかる。また、その測定結果は外因性のレムナントリポ蛋白を反映していると言われている。 それに比べ、今回用いた試薬による測定は酵素法のため測定が簡便であった。さらに、内因性のレムナントリポ蛋白を測定することができた。 界面活性剤を用いたレムナントコレステロール測定試薬は、レムナントリポ蛋白、特にVLDLレムナントの測定に有用であり、この試薬を用いることでレムナントリポ蛋白の詳細な検討・分析が可能であることが示唆された。 今回、ゲル濾過後のピークフラクションの脂質、蛋白組成を検討したが、さらにアポ蛋白組成も検討する必要がある。特に、外因性と内因性レムナントの識別には最近確立されたアポB-48測定系が有用なツールとなるものと思われる。
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