研究概要 |
サイログロブリン遺伝子異常症は現在まで41家系52症例が日本で確認されている。この症例数は全世界での症例数の約90%にあたる。日本で新生児マスクリーニングが始まったのは1979年と比較的新しいが、熊本県でのマススクリーニングの検討によると、サイログロブリン遺伝子異常症の発症頻度は67,000人に1人で、常染色体性劣性遺伝であるのでヘテロのキャリアーの頻度は約130人に一人である。サイログロブリン遺伝子異常症は、最近では新生児マスクリーニングで発見される例が多いが、マススクリーニング以前の出生例では、ほぼ正常の甲状腺機能と巨大甲状腺腫を特長とする。それらの症例を検討することで、今まで明らかでなかったサイログロブリン遺伝子異常症の自然経過も明らかになった。その一つが癌合併例が多いことであり、手術例25例のうち11例、44%に癌を合併していた。サイログロブリン遺伝子異常症の甲状腺腫は大きく、初回手術年齢29±9.6歳と若くして手術になる例が多く、平均手術回数1.5±0.7回で複数回手術を受けることが多い。切除重量も198±93gと甲状腺腫も巨大である。癌発生患者の特徴ははっきりしたものはないが、非発生患者より、232g vs 169gと甲状腺腫が大きい傾向がある。癌化のメカニズムは不明な点も多いが、5例中2例に活性化BRAF体細胞変異が認められたことより、分裂する甲状腺細胞の癌遺伝子に変異が入ったものと推察された。サイログロブリン遺伝子異常症は現在まで41家系52症例が日本で確認されている。この症例数は全世界での症例数の約90%にあたる。日本で新生児マスクリーニングが始まったのは1979年と比較的新しいが、熊本県でのマススクリーニングの検討によると、サイログロブリン遺伝子異常症の発症頻度は67,000人に1人で、常染色体性劣性遺伝であるのでヘテロのキャリアーの頻度は約130人に一人である。サイログロブリン遺伝子異常症は、最近では新生児マスクリーニングで発見される例が多いが、マススクリーニング以前の出生例では、ほぼ正常の甲状腺機能と巨大甲状腺腫を特長とする。それらの症例を検討することで、今まで明らかでなかったサイログロブリン遺伝子異常症の自然経過も明らかになった。その一つが癌合併例が多いことであり、手術例25例のうち11例、44%に癌を合併していた。サイログロブリン遺伝子異常症の甲状腺腫は大きく、初回手術年齢29±9.6歳と若くして手術になる例が多く、平均手術回数1.5±0.7回で複数回手術を受けることが多い。切除重量も198±93gと甲状腺腫も巨大である。癌発生患者の特徴ははっきりしたものはないが、非発生患者より、232g vs 169gと甲状腺腫が大きい傾向がある。癌化のメカニズムは不明な点も多いが、5例中2例に活性化BRAF体細胞変異が認められたことより、分裂する甲状腺細胞の癌遺伝子に変異が入ったものと推察された。
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