研究概要 |
1.頚動脈エコーによるプラーク性状の解析 北里大学病院超音波検査室に設置の超音波断層装置(アロカ社製SSD-5500),7.5MHzリニア型探触装置を用い,B-modeおよびPower Doppler法(ドプラ差入射角<60度)により両側総頚・内頚動脈を長軸および短軸操作で解析し,IMT,プラーク性状,%stenosisおよびpulse wave(脈波)を計測した.超音波所見はIMT≦1.0mmを基準範囲とし,プラークが存在する場合はプラークを含む範囲を計測し最大内中膜複合体(max IMT)とした.プラーク性状は透明型プラーク(echolucent type plaque),線維型プラーク(echogenic type plaque),石灰型プラーク(calcification type plaque),潰瘍型プラーク(ulcer type plaque)の4段階に分類した. 頚動脈プラーク性状は4種類の中で,石灰化型プラークが最も多く検出された.また,%stenosisが75%以上の狭窄性病変でpulse waveの減少傾向を認めた.さらに,疾患との関連性については高血圧と糖尿病との合併例で高度の狭窄性変化が多数認められた. 2.脂質関連マーカーとの関連性 脂質関連項目としてT-cho, TG, LDL-cho, HDL-cho, malondialdehyde modified-LDL(MDA-LDL),炎症マーカーとして高感度CRP(hsCRP)を測定した.T.Cho/HDL-C ratio, LDL-C/HDL-C, MDA-LDL/LDL-C ratio, hs CRPはmax IMTの進展にしたがい増加傾向を示し,IMT軽度肥厚例と健常対照群では有意差(p<0.05)を認めた.hs CRPはmax IMTの進展に伴い増加傾向を示し,血管内イベントを反映する可能性が考えられた.T.Cho/HDL-C ratio, LDL-C/HDL-C ratio, MDA-LDL/LDL-C ratioはmax IMTと正の相関を示し,これらの脂質関連物質の変動が動脈硬化の発症に関与することが示唆された.
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