研究概要 |
1.頚動脈エコーによるプラーク性状の解析 北里大学病院超音波検査室の設置の超音波断層装置(アロカ社製SSD-5500)、7.5MHzリニア型探蝕装置を用い、B-modeおよびPower Doppler法(ドプラ入射角<60度)により、両側総頸動脈・内頸動脈を長軸および短軸操作で解析した。症例は、糖尿病、高血圧、高脂血症などの動脈硬化症の危険因子を有する約2,000例について、両側総頸動脈・内頸動脈の超音波検査を施行した。その結果、プラーク性状は動脈硬化の進行に伴い透明型、繊維型、石灰型、潰瘍型の順に悪化し、潰瘍型はプラークが破綻し脳梗塞を発症する危険率が高かった。さらに、動脈硬化の進展と危険因子との関連性では、糖尿病と高血圧の合併例で動脈硬化の進展度が高かった。 2.末梢血管脈派(brachial-ankle PWV (baPWV))の測定 血管壁の硬化度を反映するbaPWVは、高血圧例で最も高値を示した。2危険因子例では糖尿病と高血圧の合併例で高値傾向を示し、これらの危険因子は動脈硬化の進展度への影響が強いと考えられた。 3..血中脂質関連マーカーおよび炎症マーカーの測定 T.cho/HDL-C ratio、LDL-C/HDL-C ratio、MDA-LDL/LDL-C ratioなどの脂質関連マーカーおよびhsCRPは動脈硬化が進展するに伴い増加を示した。さらに、軽度動脈硬化病変群で健常対照群と有意差を示し、これらの変化が早期の動脈硬化性変化を反映することが考えられた。 4.MMP-2, MMP-9遺伝子解析 MMP-2遺伝子において、5' UTR上流2kbを含む領域をPCRにより増幅し、得られたPCR増幅産物を鋳型として2nd PCRを行った。この2nd PCR増幅産物の塩基配列解析を行い、解析結果に基づきSNPの遺伝子型を決定した。また、MMP-9遺伝子では、ATG上流約-90に位置するマイクロサテライトを含む領域を蛍光標識プライマを用いてPCRにより増幅した。得られた蛍光標識PCR増幅産物のフラグメント解析を行い、サイズ分離パターンに基づき遺伝子型の分類を行った。
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