研究課題
基盤研究(C)
本研究では、キャピラリー電気泳動及びマイクロチップ電気泳動を用いた高速イムノアッセイを検討した。最初にキャピラリー電気泳動を用いた方法について検討した。検出にはレーザー励起蛍光検出器、分離モードとしてゾーン電気泳動を用い検討した結果、メトトレキサートのイムノアッセイが達成された。検出限界は、10pg、再現性については、4.31(CV%)であった。次にマイクロチップ電気泳動における定常的な電気浸透流の発生について検討した。これは、イムノアッセイへの適用を可能とするもので、その方法としてプラスチック製マイクロチップのチャンネル内を陰イオン性界面活性剤で内壁をイオン化することを行った。その結果、再現良く電気浸透流を確認することができた。この方法は、アミノ酸のゾーン電気泳動分離に適用した。またマイクロチップはキャピラリー電気泳動に比べて感度が約100倍劣っていたことより、イムノアッセイの適用は困難であった。そこで、波長フィルターを備えた顕微鏡型ME装置を用い、フルオレセインナトリウムの蛍光波長と一致した検出波長での測定を試みた。しかし、感度の向上は認められなかった。よって、イムノアッセイの構築のためには、より高感度な検出系を用いることが必要であると考えられ、次に発光検出によるマイクロチップ電気泳動法について検討した。その結果、予備的ではあるが、マイクロMオーダーでのATP検出が可能になり、発光検出によるイムノアッセイの可能性が示唆された。さらに、本研究では、標識抗原の標識物質にDNAを用い、その電荷とインターカレーション蛍光色素による方法についても検討した。その結果、DNA標識ステロイドの分離が可能になり、イムノアッセイへの適用が示唆された。以上、本研究では、キャピラリー電気泳動による高速イムノアッセイは可能となったが、マイクロチップ電気泳動によるイムノアッセイは達成できなかった。しかし、本研究により多くの基礎結果を得ることができた。今後、DNA標識などを用いた方法や、バインダーとして核酸抗体を用いるアプタマーアッセイを用いることで、臨床の現場で使用できる迅速なマイクロチップイムノアッセイが可能になるものと考えられる。
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