研究概要 |
職業性ストレスモデルに基づく職場環境改善によるストレス軽減介入研究の対象事業場を選定し、ヒアリングによるニーズの把握、職業性ストレスモデルを用いた基礎調査を行った。多数の事業場から研究参加希望があり、当初計画より研究対象を広げ調査内容を拡充することとした。 電機部品製造業(800人規模)、食品工場(2000人規模)、精密機器製造(250人規模)、繊維化学研究所(180人規模)、総合病院(1000人規模)の人事・総務・保健担当スタッフから職場の状況についてヒアリングを行い、対象の背景情報の収集とストレスに関連するニーズについてアセスメントを行った。一事業場ではメンタルヘルス活動事業に対する職員のニーズ調査が行われた。コミュニケーションの問題、従業員のモチベーションの低下、早期離職などが職業性ストレスに関連する問題として浮かび上がり、職場環境改善をメンタルヘルス活動のひとつとして取り入れていく必要性が確認された。 電機部品製造業828名を対象とした基礎的な調査を行った。要求度-コントロールモデルから求められる高要求度プラス低コントロール状態、努力-報酬不均衡モデルで評価される努力-報酬不均衡状態、上司および同僚からの低サポートは、いずれもGHQ尺度によって測定される精神的不健康状態と強い関連を有しており(p<,001)、対象事業場において職業性ストレスモデルで評価されるストレス要因にアプローチすることは合理的と思われた。 各事業場において、介入の単位、効果指標の策定などについて検討を行うとともに、介入計画を安全衛生計画に盛り込みメンタルヘルスに関する職場環境改善を事業場全体で行っていくことの理解を得た。指標として改善活動に対する従業員の受け止め方といった質的な項目も盛り込むこととした。介入研究全般の手続きについて岡山大学倫理委員会の承認を受けた。
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