研究概要 |
職場環境改善によるストレス軽減介入研究の対象事業場として、昨年度ヒアリングによるニーズの把握を行った事業場のうち電機部品製造業(800人規模)、精密機器製造(250人規模)、繊維化学研究所(180人規模)、総合病院(1000人規模)の人事・総務・保健担当スタッフを対象として職場環境改善の推進役であるファシリテータ養成を目的としたワークショップを行った(2005年5月)。うち2事業場(電機部品製造業および総合病院)において事業場内の部署を無作為に割り付けた介入研究の実施に同意が得られた。 このうち総合病院ではまず、ファシリテータ養成を目的としたプレグループワーク(2005年9月)を開催し、引き続いて介入前のストレス状況調査(2005年11月)を施行した。病棟看護師を介入対象と定め、病棟を無作為に介入群とコントロール群に割付後、介入群においてストレス調査結果の説明、職場環境改善のための改善項目のリストアップとこれに基づく改善活動計画を立案するためのグループワークが行われた(2005年12月)。2006年1月に、職場環境改善活動経過報告会を行い、改善活動に関わる問題点を整理し、研究者および職場環境改善の専門家である研究協力者が改善活動に資するアドバイスを行った。また、職場環境改善シンポジウムへの参加を通じ(2006年1月)、ファシリテータの教育に努めた。 介入前調査に回答した介入群(6部署167人)、コントロール群(7部署127人)のベースラインデータを比較した。性、年齢、教育歴、職歴、労働時間、疾病休業日数に差はなかったが、交替勤務者の割合が介入群の回答者で多かった(それぞれ82%,69%)。また、上司によるサポートが介入群で高レベルであった(p<.001)ほかは仕事のストレス要因は両群で差はなかった。CES-Dによって測定される抑うつ症状の有症率は両群とも50%を超える高頻度であったが、頻度差はなかった。概ね無作為割付は妥当に行われたと考えられた。引き続き改善活動を支援し活動開始後1年までを目安として介入の評価をする予定である。
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