電磁場の変異原性誘発もしくは誘発修飾因子としてメカニズムの一つとして、活性酸素が注目され始めたが、未だに確固たる証明がなされていない。我々も微生物を用いた実験系で化学物質による突然変異原性が電磁場により修飾され、そのメカニズムとしてラジカルの関与を想定する結果を得た。これらの結果が実際に動物レベルで起こっているかを証明する必要がある。一方、電磁場曝露により小児白血病が誘発されるかが疫学研究により注目されている。 そこで、本申請者は、電磁場による発癌修飾性を証明するために、O^<2->産生系としてアドリアマイシンを、抗酸化剤としてアスコルビン酸を用いた。アドリアマイシンをマウスに投与すると小核誘発性を認めた。その小核誘発頻度は、アスコルビン酸投与により抑制された。また、アドリアマイシン投与したマウスを電磁場曝露すると僅かに小核誘発促進作用が認められた。今後は、アドリアマイシン投与マウスに電磁場曝露することによる小核誘発促進作用が、アスコルビン酸投与によりどのように修飾されるかを検討する。 白血病誘発メカニズムの検討として、抗癌剤のシスプラチンをマウスに投与するとアストロサイトに小核が誘発されることが明らかにしてきたが、電磁場を曝露することにより電磁場の強さ依存的にシスプラインによる小核誘発頻度が亢進した。今後、抗癌剤やラジカル誘発物質と電磁場を曝露して、アポトーシス実行機構にどのように関与していくかを明らかにする。
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