研究概要 |
石川県金沢市のK病院で妊娠中経過観察および出産し、母乳提供に協力の得られた女性44名について,分娩後5-7日における母乳の採取,栄養調査およびアンケート調査を行った。母乳は冷凍保存後,脂肪抽出,ダイオキシン分画を精製分離して,GC/HRMSにて測定した。この際,母乳中ダイオキシン類の分析に用いた母乳量は10gであり,従来の方法に比べ少量で測定を行っており,試薬の配分やクロマトグラフの種類など分析方法上の検討を加え,より簡便に精度よく測定できるような方法を確立した。 栄養調査については簡易食物摂取状況調査票に魚介類の産地などについての問いを追加して調査を行ない,食物・栄養摂取に関するデータベースをつくった。 また,アンケートでは喫煙や飲酒習慣、妊娠中の貧血、合併症の有無、分娩、出産後の状況など母体に関する情報と児の性別、生下時身体測定値,1ヶ月時健診時身体測定値など出生児に関する情報、乳汁分泌状況、母乳採取時刻,1ヶ月健診時母乳分泌状況などの母乳に関する情報を集め,データのクリーニングを行ない,データベースを構築した。 これらのデーターベースを解析し,対象者の属性を検討したところ,年齢は20-38歳で,初産婦が43%であり,経産婦が多かった。また,妊娠前の喫煙者は18%と喫煙率は低かったが,非喫煙者でも夫などの喫煙により受動喫煙の可能性がある者は58%と高かった。また,ダイオキシンを多く含むことが知られている魚貝類の摂取は近海ものを週2-3回程度と摂取しているものが50%と多かった。
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