研究課題/領域番号 |
16590491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
兵藤 文則 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80069070)
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研究分担者 |
大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160551)
三浦 由恵 川崎医科大学, 医学部, 助手 (00388935)
西村 泰光 川崎医科大学, 医学部, 講師 (90360271)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | 珪肺症 / 免疫異常 / 抗核抗体 / 自己反応性T細胞 / CD4^+CD25^+制御性T細胞 / CD4^+CD25^-T細胞 / FOXP3 / 細胞増殖抑制能 |
研究概要 |
珪肺症の症例(症例)では、自己抗体の出現や自己免疫疾患の合併などの免疫異常が頻度高く報告されている。我々は、この免疫異常の機序解明を試みている。近年、自己反応性T細胞の活性化を抑制していると考えられているCD4^+CD25^<+high>Regulatory T cell(制御性T細胞:Treg)の存在がヒトでも確認され、その数的および機能的異常が自己寛容破綻を促す可能性が示唆されている。我々は、補助金が交付された期間に、インフォームド・コンセントを得て給与された健常人と症例の末梢血を用いて次のことを明らかにした。1.自己免疫疾患で高頻度に出現するとされている抗核抗体が症例で有意に高頻度に出現することを示し、症例における免疫異常の惹起を確認した。次に、症例におけるCD4^+T細胞中のTreg分画の比率を比較検討し、健常人では、年齢とTreg分画の比率との間に有意な正の相関が認められるが、症例ではこの相関が認められないことを示した。この結果などにより、症例では年齢に適合したTreg細胞の増加が生じていないことを、換言すれば、Treg細胞の相対的不足が生じていると推察され、このTreg細胞の相対的不足が症例での免疫異常惹起の一因となっていると推論した。2.機能的側面として、Treg細胞のアロ抗原刺激によるCD4^+CD25-T細胞増殖抑制能の差異を、健常人と症例で比較し、症例由来のTreg分画の細胞は増殖抑制能が有意に低下していることを示した。この機能的異常も珪肺症での免疫異常惹起に関与しているものと推察した。また、症例のTreg分画では、Treg細胞に特異的に発現しているとされているFOXP3と抑制機能の調節に係わるCTLA-4分子発現の減弱を認めた。さらに、シリカにより末梢血単核細胞が活性化することを見出している。これらの結果は、症例のTreg分画に活性化したCD4^+CD25^-T細胞が混入・置換している可能性を指摘しているものと考えている。
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