1.地域の社会経済的不利により低下する地域住民の健康水準の定量化 地域住民の健康水準と地域の社会経済的指標との関連について、都道府県および市区町村を単位とした分析を行った。平均余命・健康寿命、年齢調整死亡率(年齢階級別、死因別含む)等の健康指標、国勢調査、住宅統計調査等より得られた社会経済指標を用いてデータベースを作成した。各社会指標および複数の社会指標から算出した都道府県および市区町村別の困窮指標(Deprivation Index)と健康指標との関連性を分析し、地域の社会経済的要因が健康水準と関連していることを明らかにした。また、地理情報システム(GIS)を用いて、健康指標および社会指標をマッピングした。さらに、空間疫学分析手法を用いて、主要部位別がんの集積地域を同定し、これらの地域の社会経済的特性を明らかにした。 2.個人と地域の社会経済的要因が健康状態および生活習慣に与える複合的影響 全国規模の個票データ(国民生活基礎調査)を用いて、生活習慣(喫煙、飲酒、運動、食事、ストレス)および検診受診状況と個人特性(性、年齢、職業、収入、他)および地域(単位=都道府県および大都市)の社会経済指標との関連をマルチレベル分析により分析した。その結果、不健康な生活習慣が個人の低い社会経済的状態および都市居住と関連していることが明らかになった。また、栄養摂取状況・身体検査結果と個人の社会経済的要因を分析するため、国民健康・栄調査の個票と国民生活基礎調査の個票を用いたデータベースを構築した。
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