1 研究方法 2003/2004インフルエンザシーズン終了後の2004年5月現在、島内の全幼稚園・保育園45施設、小学校36施設に通園、通学中の小児を対象に、保護者に対し各児1枚の無記名アンケートを配布した。調査内容は、通園・通学状況、当該シーズンにおける児のインフルエンザ発症の有無とその診断根拠およびワクチン接種の有無、同居高齢者の有無とそのワクチン接種の有無およびインフルエンザ発症・入院の有無である。回収した小児計5266名分のうち、シーズン中の通園通学状況、ワクチン接種の有無、インフルエンザ発症の有無が不明を除いた5111名を検討対象とした。 2 研究結果 (1)幼児・学童のインフルエンザワクチン効果 ワクチン接種率は41.5%、インフルエンザ発症率は11.2%であった。通園通学状況別ワクチン効果は、未通園児:オッズ比0.50(p<0.1)、園児:オッズ比0.59(p<0.001)、学童:オッズ比0.51(p<0.001)であった。1回接種法、2回接種法の間でワクチン効果に有意な差を認めなかった。 (2)同居高齢者への波及効果 同居高齢者が発症したとの回答は小児がいる家庭の2.3%に過ぎず、統計学的な検討は困難であった。 (1)同居高齢者のいずれもワクチン接種を受けなかった家庭における高齢者の発症率 児接種(+)群:1.9%児接種(-)群:2.4% ns (2)同居高齢者全員がワクチン接種を受けた家庭における高齢者の発症率 児接種(+)群:0.9%児接種(-)群:3.4% ns (3)同居高齢者の一部がワクチン接種を受けた家庭における高齢者の発症率 児接種(+)群:4.1%児接種(-)群:1.9% ns 3 今後の課題 本研究得られたインフルエンザ予防対策上有用な結果を地域に還元するとともに、地図情報システムを活用したより効果的な地域インフルエンザ対策を検討する。
|