研究課題
ロタウイルス胃腸炎は小児ではありふれた感染症であり、発展途上国では年間数十万人の死亡がある。先進国では、死亡者こそ少ないが、ロタウイルスが重症下痢症の主要な原因であることに変わりはない。現在、諸外国においてロタウイルスワクチンの臨床試験が進行中であり、わが国におけるワクチン導入の是非を考える場合、基礎的データとしてロタウイルス下痢症の疾病負担を明らかにしておく必要がある。そこで、本研究において、著者らは全国規模でのロタウイルス胃腸炎の罹患者数および罹患率を明らかにすることを試みた。ロタウイルス胃腸炎を含む、全ての原因による感染性尾胃腸炎の推定値は、1999年の感染症法(感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律)の施行により得られるようになった。この推定値、および急性感染性胃腸炎の外来患者におけるロタウイルスの検出割合の推定値から、ロタウイルス胃腸炎の年間罹患率、年齢階級別の年間罹患率、および6歳までの累積罹患率(罹患割合)を推定した。外来患者におけるロタウイルスの検出割合は、以前日本において行われた4つの独立した研究のメタアナリシスによって得た。割合の要約推定値は、分散の逆数で重み付けした平均として求めた。著者らの推定では、わが国においては年間約80万人の6歳未満の小児がロタウイルス胃腸炎により小児科医院または病院外来を受診し(罹患率=11人/100人・年)、また、小学校に上がるまでに2人に1人の子供が小児科を受診する。そのような受診は1歳の時に最も高頻度である(罹患率=27人100人・年)。以上の結果から、日本においては、ロタウイルス胃腸炎の疾病負担はかなり大きいものと考えられた。
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