研究概要 |
【目的】増加傾向にある卵巣がん(OC)と子宮内膜がん(EC)の症例対照研究を行い、疑われるリスク要因との関連性の強さを比較した。 【方法】2003年から2005年までに札幌医大附属病院婦人科でOC、あるいは、ECと診断された25歳以上のそれぞれ100人と152人のうち、文書による説明と同意が得られたそれぞれ71人(71.0%)と124人(83.9%)に郵送に電話を加味した方法で調査を行った。次に、症例の居住する14地区の住民基本台帳から年齢と居住地区を頻度マッチングして648人の対照群候補を無作為抽出して、文書による説明と同意を得た295人(45.6%)に同様の調査を行った。そのうち、がん既往があった26人を除いた269人を対照群として、ロジスティック回帰解析によって年齢と地域を調整してオッズ比を求めた。有意水準5%で有意なオッズ比に*印を付けた。 【結果】OCとECへ関連性が疑われている項目のオッズ比は、毎日運動(OC0.37*,EC0.54)、1回当たり1時間以上運動(OC0.62,EC0.55*)、20歳頃と比べて15kg以上体重増加(OC1.26,EC3.37*)、体重が最も重かった時のBMI26以上(OC1.12,EC1.60)、妊娠の経験(OC0.57,EC0.33*)、出産の経験(OC0.51*,EC0.38*)、経口避妊薬を服用(OC0.61,EC0.36*)、不妊症のためにホルモン治療(OC1.30,EC1.83)、ホルモン補充療法(OC1.87,EC1.27)、母姉妹に卵巣がん(OC3.80,EC1.56)、母姉妹に乳がん(OC2.16,EC1.76)、母姉妹に子宮がん(OC1.70,EC3.74*)であった。 【結論】身体活動量を増やして体重増加を抑制することが、ECの一次予防につながる可能性が示唆された。
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