研究課題/領域番号 |
16590506
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
牧上 久仁子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90238882)
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研究分担者 |
安村 誠司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50220158)
石井 則久 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター・生体防御部, 部長 (50159670)
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キーワード | 疥癬 / 精神科病院 / 療養病床 / 院内感染 / 感染症予防 / 疫学 |
研究概要 |
今年度は昨年度行った精神科病院および療養病床に対する郵送調査のデータの追加分析(施設属性による発生状況の違い、疥癬発生施設と非発症施設の比較、自由記述欄の質的分析など)と六施設で集団感染発生施設の実地疫学調査、医療関係者からの電話等による相談を行った。 調査の結果から以下の三点が疥癬対策上の課題であることがわかった。第一に疥癬の集団感染は角化型疥癬患者を感染源として発生するとされているにもかかわらず、郵送調査で集団発生があったと回答した施設159施設のうち、角化型患者が発生したと回答した施設は51施設にとどまり、集団感染と角化型の認知率に乖離が見られたということである。理由としては角化型の見落としや、角化型を感染源としない集団感染などの理由が考えられるが、疥癬集団感染対策のためには実態を明らかにする必要がある。そこで郵送調査に協力頂いたなかから角化型疥癬患者を確認できないまま約一年間にわたり疥癬患者が散発した一施設に依頼し、今までに三回実地疫学調査を行い、現在も経過観察中である。 第二には転院元・転院先の施設との、疥癬対策のための情報交換や連携のあり方について検討する必要があるということである。郵送調査で自由記述欄に記入した249施設のうち174施設から「転院患者が疥癬を持ち込んだ、または転院先から疥癬発症した」など、転院がきっかけとなって施設間で疥癬が伝播したと考えられるコメントがあった。 第三に、感染予防措置としての疥癬治療薬の効果や副反応についてはエビデンスが現在ほとんどないにもかかわらず一部の施設で疥癬予防を意図して入院時にルーチンで疥癬治療薬が使用されているという点である。郵送調査で34施設がルーチンの予防的治療を行っていると回答していた。
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