わが国におけるシステマティックな大規模双生児登録の構築基盤を整備することを目的にまず、双生児登録の実現可能性を科学的に評価した。これまでにわが国において双生児登録(コホートないしデータベースの意味合いが強い)が継続的に実現し得なかった原因の解明を行った。多岐にわたる双生児登録の実現方法の中で、わが国の実状に合致し、今後も応用可能と思われるものを多角的に模索した。対象年齢では(1)親と同居の場合(主として成人前)、(2)成人以降、によって双生児の把握方法が根本的に異なる。実現不可能な場合は併せてその理由と、具体的な制限要因、今後の実現可能性を高める要因を評価した。 1.行政レベルでの乳幼児期双生児育児支援の実態調査 一定地域のすべての保健所を対象に多胎児育児支援の有無に関する実態調査を郵送法質問紙法で実施した。これに伴って、これまでの成長・発育調査の結果を一般向けリーフレットにして配布し、多胎児育児支援の現状と必要性と協力の要請を行った。 2.わが国における双生児登録の具体的戦略の開発 海外で大規模双生児登録を実現してきた研究機関から得た情報をもとに、わが国における双生児登録の具体的な戦略を検討した。これは単に研究目的にとどまらず経済面、倫理面、法律面、社会的側面など多面的に検討した。 3.石川県における予備的双生児登録の設立 2のプロセスを経た後に石川県において具体的な登録に向けての活動を開始した。(1)乳幼児、(2)学童、(3)成人でそれぞれ別個の把握方法と複数対象の同時把握方法があるが、まず分娩数などを元に把握可能率が高い乳幼児を対象とした。乳幼児においては双生児登録の実現は育児支援にもつながる要素を含み、登録の目的や必要性が明確に示された。
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