研究分担者 |
中西 一郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (40364088)
三輪 英人 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50231626)
近藤 智善 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50103891)
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60264876)
坂田 清美 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50225794)
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研究概要 |
本年度は和歌山県でのALSの予後規定因子につき次の2項目につき引き続き検討し下記の結果を得た。 1:ALS発症に環境や社会経済的要因など外因の関与が推察されている。本研究では、ALSの疾患関連要因をさらに検討するため、紀伊半島南部多発地(K,N地域)住民と対照地域住民および県内ALS患者において血清元素測定を行い、多発地住民の特性を明らかにした。血清元素はCa,Mg,Cu,Zn,および血清PTH-intact、さらにIGF-I濃度を測定した。結果、多発地K地域住民では対照住民に比し血清Ca,補正Caが有意に低値、血清Znは有意に高値を示した。Intact PTHはK住民では低値傾向であったが有意差を認めなかった。多発地N地域住民では、補正Ca値は低値を示したがそれ以外は対照と差を認めなかった。ALS患者では血清Ca,Cu,Zn,intact PTHおよびアルブミンの低値を認めた。多発地住民の特徴はALS患者と必ずしも一致しないが、これらがリスク要因として作用するか今後更に検討が必要である。 2:ALSの予後規定因子を検討するため、県内ALS患者につき発症年齢(AAO),呼吸器装着までの期間(RD),初発症状(IS)を年代的に検討した.方法は県内医療機関にALSアンケート調査を行い、1996〜2005年に発症したALS例の臨床情報を登録した.発症時期を2001年以前B群、以降A群として比較した.診断はE1 Escorial criteriaに準拠した.結果は、調査期間中に弧発性ALS 227例を認めた。平均AAOはA群67.2±9.3,B群64.3±9.0(p<0.02)、累積生存率はA群で低下(Kaplan-Meier法,log-rank test,p<0.0006)を示し球・上肢発症例の比率が高い傾向が認められた。結論として、最近のW県内ALSでは高齢化と初発部位の変化、罹病期間短縮が認められ、これらに外的要因の関連が推察された。
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