研究課題
骨粗鬆症はmultifactorialな要因が複雑に絡み合って発症する生活習慣病であり、危険因子一つ一つの疾病発症への寄与はそれほど大きくない。このような寄与度の少ない因子を選び出して、個人レベルでのリスク評価を行えるようなプログラムを作成するためには、精度の良いデータを長期間に集める必要がある。WHO collaborating centre for metabolic bone diseasesでは、国際的な規模で行われている9つのコホートの結果を集め、個別データをそろえてMeta-analysisすることにより、骨粗鬆症による骨折の統合されたリスク要因を明らかにしてきた。この結果骨粗鬆症による骨折のリスク要因は、高齢、性別(女)、低BMI、50歳以降の骨折の既往、大腿骨頚部骨折の家族歴、喫煙、ステロイド使用、関節リウマチ、一日2ユニット以上のアルコール摂取、大腿骨頚部あるいはtotal hipの骨密度であることが示されている。今回我々は骨粗鬆症の個別評価プログラムを作成するにあたり、これらの提示されたリスクファクターが日本人の骨粗鬆症性骨折を予測しうるか、リスク評価に導入しうるかについて検討した。すなわち、WHOによって示されたリスクファクター候補を和歌山県において地域の代表性を考慮しランダムサンプリングしたコホートに適用し、gradient of risk(GR,リスク比の変化/リスクスコアのSD変化)を指標に用いてこれらリスク要因の評価を行った。その結果、上記リスク要因は、将来の大腿骨頚部骨折においてはGR2.87(0.77)、田の骨粗鬆症性骨折においても3.50(0.81)となり、これらのリスク要因を個別プログラムに使用することの有用性が示唆された。
すべて 2006 2005
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J Bone Mineral Metabolism (印刷中)
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