研究概要 |
手術後5年間の生存率のデータとリンクし得た571例のうち、198例について、術前血清中のIL(interleukine)-1β、IL-6、IL-8、TGF(transforming growth factor)β、TNF(tumor necrosing factor)α、EGF(epidermal growth factor)、Midkine、VEGF(vascular endothelial growth factor)、同receptor-1、同receptor-2を測定した。死亡をendpoint、追跡不能となった時点もしくは手術後5年間の時点でcensoredとなったとして、比例ハザードモデルにより、術前血清中の各因子について、中央値未満の群を基準とした、中央値以上群の死亡リスクを計算した。計算では、各因子について、性別、年齢で調整したモデルと、これらに加えてステージでも調整したモデルの2通りの計算を行った。 有意な結果が得られたのは、IL-6、IL-8、VEGFで、いずれも値が高い方が死亡リスクが高く、ハザード比(95%信頼区間)は、それぞれ2.08(1.21,3.56)、1.88(1.09,326)、1.95(1.08,3.54)であった。しかし、ステージでも調整したモデルでは、それぞれ、1.20(0.69,2.07)、1.78(1.03,3.11)、1.48(0.78,2.81)であった。 IL-8はステージとは比較的独立な胃癌の予後因子と考えられるのに対し、IL-6はステージに強い関連を持つために予後と関連していると考えられる。VEGFはこの中間の因子であり、更に例数を増やすことでステージと独立した予後因子であるか否かを確認する必要がある。
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