研究課題/領域番号 |
16590530
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公衆衛生学・健康科学
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
飛鳥井 望 (財)東京都医学研究機構, 東京都精神医学総合研究所, 参事研究員 (30250210)
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研究分担者 |
岸本 淳司 東京大学, 医学系研究科クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット, 科学技術振興特任教官
猪子 香代 東京都精神医学総合研究所, 副参事研究員 (80168476)
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研究期間 (年度) |
2004 – 2005
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キーワード | ドメスティック・バイオレンス / 児童 / 子ども / 心的外傷 / 心的外傷後ストレス障害 / 目撃 / 治療介入 |
研究概要 |
本研究の目的は、DV被害児童における直接的、間接的暴力被害の実態とその精神健康への影響をあきらかにすることである。初年度は、民間シェルターに入所したDV被害女性29名とその子ども(4-12歳)45名(男児25名、女児20名)を対象として、母親に対する自記式質問紙及び子どもに対する投影法心理検査を実施した。調査尺度は、児童用外傷性ストレス症状チェックリスト、子供の行動チェックリスト(CBCL)、PFスタディ児童用を使用した。その結果、DV被害児童は、直接的・間接的に暴力にさらされてきた体験を持ち、何らかの外傷性ストレス症状を呈し、かつ不安・抑うつ傾向と攻撃傾向などの問題を有していた。ストレス対処としては、葛藤状況において自己を主張せず対決を回避するための妥協をするなどの行動をとりやすい傾向を認めた。以上の結果よりDV被害児童のケアにおいては、外傷性ストレス反応の緩和とともに、不安抑うつ、否定的な自己認知への働きかけが重要であることが示唆された。2年度はさらに臨床事例及び文献の検討を通して、DV被害を受けた子どもに対する治療・ケアのあり方について研究した。困難事例化する子どもに共通する臨床的特徴として、不服従、反抗的、容易に暴力を振るうなどの問題行動が目立ち、そのため対人関係や社会適応に障害をきたしていた。また怒りなどの表現を適切にすることの拙劣さ、暴力の正当化、自尊心の傷つきに過敏な傾向も見られた。以上の検討より、DV被害児童への介入が目指すべきポイントとして、(1)暴力に対する安全確保行動に関する知識と利用できる社会資源に関する知識の向上、(2)対人的葛藤を処理し、暴力を振るわずに葛藤を解決する力の向上、(3)暴力を正当化したり、受容する傾向の修正、(4)治療・ケアを通した自分自身の変化の肯定的受け止め、の4点を取り上げた。
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