本研究は、悪性新生物と脳血管疾患は不健康な食習慣、喫煙、過度のアルコール摂取などが両者のリスクファクターとして共通しており、胃がん、肺がんが先行する第一疾患の場合に、脳血管疾患が続発するリスクは有意に低く、脳血管疾患が先行する場合悪性新生物続発は有意に高いとする先行研究を背景に計画されたものである。 本年においては昨年に引き続き実施点は以下のようである。 1.ICDコードの第10版への統合を行った。 2.脳血管疾患の病型診断についてICDコード第10版との整合性をはかった。 3.原爆成人健康調査コホートの郵便調査各調査の質問項目に対して比較可能のため調整をはかった。 本年においては、疫学研究の倫理指針の改定に伴い、放射線影響研究所における自治体が実施するがん登録事業で収集されたデータ利用について、研究所内外の倫理規定の整備とそれに準拠した個人情報保護とインフォームドコンセントの対応、またデータベース利用環境の再検討という新たな課題と、原爆放射線の新被爆線量体系DS02が2006年に正式に公表となったという点からデータ照合および解析の実施で進捗が遅れている。 照合および解析にあたり、現在以下の点が実施中である。 1.がん罹患者データにおける脳血管疾患患者の同定 2.がん罹患者における脳血管疾患発症リスクの統計解析 照合完了後、ただちに解析を実施し、来年度中に報告する予定である。
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