日本人集団について、ミトコンドリアハプログループ分類上重要な塩基置換部位をSNPとして捉え、各SNPを検出する方法について検討することが研究目的であるが、平成16年度はSNaPshot(Applied Biosystems)を用いた一塩基プライマー伸張反応について検討した。 一塩基プライマー伸張反応では検出したいSNPの直前に3'末端がくるようにプライマーを設定、プライマーはターゲットDNAの相補的な部位にアニールし、次いで、DNA polymeraseと蛍光標識したddNTPを含む反応液中で、プライマー伸張反応を行うと、プライマーの3'側に検出したいSNP塩基に相補的なddNTPが1つだけ付加され、反応は停止する。付加されたddNTPの蛍光を検出することによって目的のSNPを確認することができる。 東アジア集団のハプログループ分類には、ミトコンドリアDNAの10400、10398付近の塩基置換が特に重要であるので、10310、10321、10345、10362、10373、10397、10398、10400及び10410の9カ所について、一塩基プライマー伸張反応用のプライマーを設定し、SNP検出を行ったところ、いずれの部位においても判定可能であった。この9カ所のSNP判定によって試料はMとN系統に区別することができた。 D及びG系統を分類するために3206、3010及び5178の塩基置換の検出を行ったところ、いずれも判定可能であった。 10310、10321、10345、10362、10373、10397、10398、10400及び10410の9カ所の判定で、M系統に分類された試料については3394、4715、4833、7600、9824、14318、14470及び15487Tの塩基置換の検出を行ったところ、一部を除き判定可能であった。また、同様に9カ所の判定でN系統に分類された試料については663、5417、10609、12705C及び14178等の塩基置換の検出を行ったところ、いずれも判定可能であった。 複数部位を別々に反応させ、判定することは効率が悪く、煩雑であるので、Mutiplex化を試みたが、全カ所を同時に判定できる系は今のところ確立できておらず、継続して検討している。
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