研究概要 |
エタノール(EtOH)の一部はグルクロン酸抱合を受けてエチルグルクロナイド(EtG)になる.このEtGはEtOHより長期にわたり検出しえ得るため,飲酒の証明に有効といわれている.一方,覚醒剤は第3次覚醒剤乱用期と言われ、若年層への乱用が問題となっている.その使用法も,アルミホイル上で炙ったり,アルコールに溶かして服用と,従来の方法とは異なってきている.そこで,今回,ラットにEtOH(4g/kg)単独経口投与,メタンフェタミン(MA,5mg/kg)腹腔内単独投与、EtOHとMAを同時投与し、EtOHの代謝への影響を検討した.また,EtOH群,ETOHとMA同時投与群を屠殺後、ビニール袋に入れ,20℃で一定期間放置し,EtOH, EtC及びMA, MA代謝物を測定し,死後における濃度変化を検討した.EtCHはいずれの群でも24時間後には血清,尿からは検出されなかったが,EtGは24時間後でも検出された.一方,MAはEtOH同時投与により代謝の抑制を受け,水酸化体の生成が抑制された.次に,死後の腐敗による影響であるが,7日後でも,肝臓,腎臓,脳でEtOH, EtGは17日後も1日後と略同量が検出されたが,EtOH同時投与により、水酸化体の減少傾向が認められた.このように,EtGを測定することにより,EtOHが検出されない場合でも飲酒の証明が可能なことが明らかとなった.加えて,EtG濃度はMAの同時投与により影響は受けず,mAの代謝が影響をうけることが明らかとなった.
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