研究概要 |
我々は、PPARγ ligandが胃癌、膵臓癌、肝細胞癌などの消化器癌に対して強いin vitro細胞増殖抑制作用やapoptosis誘導作用、腫瘍細胞の浸潤能を抑制することを見い出し報告してきた。これまでの研究から細胞増殖抑制はproteasome活性を抑制すること、F-box proteinのSkp2を抑制することからubiqutin-proteasome系が抑制され、cyclin dependent kinase inhibitorのp27Kip1が蓄積した結果G1 arrestが起きることを明らかにした。しかしながら、未だPPARγによる細胞浸潤能の抑制メカニズムや細胞増殖抑制やapoptosis誘導の詳細な細胞内メカニズムは明らかに出来ていない。今回我々はPPARγ ligandによる細胞増殖抑制、apoptosis誘導作用、細胞浸潤能抑制に関与する細胞内シグナル伝達を明らかにすることを目的とし、PI3 kinase-Akt系やmitogen activated protein kinases(MAPKs),ERK,JNK,p38MAPKがPPARγ ligandの作用にどのように関与するのかを明らかにするかを検討した。膵癌細胞にtroglitazoneを添加してこれらシグナル伝達に関与する分子の発現をwestern blotで解淅した。TroglitazoneはERK1/2のリン酸化を抑制していること、更にこの抑制にERKの上流にあるMEK蛋白の発現低下が関与することが示唆され、この系がアポトーシスや細胞増殖抑制に関与する可能性を検証中である。
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