研究課題
基盤研究(C)
本研究では、ポリフェノールなどによる膵星細胞活性化抑制能の検討を行うとともに、desmoplastic reactionにおけるgalectin-1発現意義を明らかにするためにヒト組み換えgalecin-1による膵星細胞の細胞機能調節について検討した。1.膵星細胞をcurcumin、ellagic acid、epigallocatechin-3-gallate(EGCG)の3種のポリフェノールで処理し、(1)細胞増殖、(2)ケモカイン産生、(3)コラーゲン産生、(4)分離した静止期にある細胞の活性化に与える影響を検討した。検討したポリフェノールは、いずれの膵星細胞活性化指標を濃度依存性に抑制した。さらにellagic acidはラットモデルにおいて膵線維化形成を抑制したことから、膵星細胞活性化抑制による膵線維化抑制の可能性が示唆された。2.ラットより分離された膵星細胞において、分離翌日ではgalectin-1の発現が認められなかったが、2週間後の活性化した細胞では強い発現が認められた。組み替えgalectin-1の投与により膵星細胞の増殖、MCP-1とCINC-1の産生、コラーゲン産生の誘導が濃度依存性に認められた。Galectin-1は細胞内シグナル伝達経路であるMEK-ERK系、NF-κB、JNK系を活性化した。特異的阻害剤を用いた検討により、Galetin-1による細胞増殖誘導は、主にMEK-ERK系の活性化を、ケモカイン産生誘導は主にNF-κB、一部MEK-ERK系とJNK系の活性化を介することが明らかになった。膵星細胞から産生、分泌されたgalectin-1がautocrineあるいはparacrineの機序により膵星細胞ならびに膵癌細胞の細胞機能を調節し、膵癌の進展に関与している可能性が考えられた。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (12件)
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