研究概要 |
1.培養肝癌細胞におけるフコイダンの抗腫瘍効果 (1)形態学的変化 フコイダン投与72時間後、HepG2細胞の90〜100%で変性を認めたが、Chang細胞では光顕的変化を認めなかった。一方、ニゲロオリゴ糖投与では細胞の変性所見を認めなかった。 (2)MTTassayでは、高濃度フコイダンでHepG2細胞障害を認めたが、Chang細胞では認めなかった。 (3)Apoptosis誘導(細胞死検出ELISAキット) HepG2細胞ではFucoidan2^<-8>の低濃度でアポトーシスを誘導した。Huh7細胞とChang細胞に対しては高濃度のみでアポトーシス誘導を認めた。 2.培養肝癌細胞におけるフコイダンのアスパラギン酸に及ぼす効果 フコイダンの2日間処理によってHuh7細胞(1.84->0.75)ではD-Asp濃度(nmol/mg蛋白)が低下したが、HepG2細胞では逆にD-Aspは増加した(0.25->43)。 一方、L-Asp濃度はHuh7(6.21->14.4)、HepG2(1.76->8.45)ともに増加した。 3.肝腫瘍マーカーに対するフコイダンの効果 各種濃度(1/5,1/10,25/1,1/50,1/100,コントロール)のフコイダンをHuh7細胞に投与し、24時間後のメデイウム中αFetoprotein濃度を測定した。Huh7細胞のメヂウム中αFetoprotein濃度は、それぞれ28.6、96.2、126.0、151.2、159.4、173.6となり、濃度依存性に腫瘍マーカーは低下した。HepG2細胞に対しても同様なαFetoprotein低下作用をしめした。メディウム中のLDHは変動を認めなかった。 一方、ニゲロオリゴ糖投与によってHuh7細胞、HepG2細胞のαFetoprotein濃度は変動を認めなかった。 以上の成績より、フコイダンの抗肝癌作用が示唆された。
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