研究概要 |
我々は肝細胞癌に対するフコイダンの効果を報告してきたが、平成17年度は以下の2点について研究を行った。 まず、研究分担者(早川 江)が開発したmicrosequencing-deciphering法を用いて、培養肝癌細胞におけるフコイダン誘導蛋白を測定した。フコイダン投与によってhepatic growth factor(HGF)、HGF receptor(c-Met)、hepatocyte nuclear factor、histone-lysine N-methyltransferase,ユビキチン関連蛋白などが誘導された。HGFは培養肝癌細胞株(HepG2)のcell cycleをG1で静止し増殖を抑制するとの報告や、hepatocyte nuclear factorは肝癌のnegative growth regulatorであるとの報告が散見されることから、フコイダンの抗腫瘍効果との関連で興味深い。 そこで、細胞周期に及ぼすフコイダンの効果を検討する目的で、フコイダンによるブロム(Br)の細胞内誘導をin-air micro PIXEで測定した。その結果、フコイダンは細胞をS期に静止する可能性が示唆された。また、Flow cytometryの成績でもフコイダンは細胞周期を停止するとの成績がえられた。 以上の成績から、フコイダンは肝癌細胞の細胞周期を調節することで抗腫瘍効果を発揮するものと推察される。
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