1.培養肝癌細胞におけるフコイダンの抗腫瘍効果 天然フコイダンはHepG2細胞、Huh7細胞およびChang細胞(正常肝細胞)に細胞障害を認めたが、癌細胞と正常細胞の細胞障害の比較では差異を認めなかった。大分子フコイダンの細胞障害はHepG2細胞に比べ、Huh7細胞とChang細胞で強い傾向にあった。一方、天然フコイダンのApoptosis誘導能(TUNEL染色)はHepG2細胞、Chang細胞ともにニゲロオリゴ糖のApoptosis誘導能と比較し軽度であった。 2.αfetoprotein(肝腫瘍マーカー)に対するフコイダンの効果 各種濃度(0、1%、2%、4%、10%、20%)のフコイダンをHepG2細胞に投与し、24時間後のメデイウム中αfetoprotein濃度を測定した。その結果、フコイダンは濃度依存性にαfetoprotein低下作用を認めた。αfetoprotein低下作用は大分子フコイダンの方が天然フコイダンや小分子フコイダンより顕著であった。Huh7細胞における成績では天然、大分子および小分子フコイダンともに、濃度依存性のαfetoprotein低下作用を認めた。また、天然フコイダンはHuh7細胞のAFP蛋白濃度をニゲロオリゴ糖に比べ明らかに抑制した。 一方、ニゲロオリゴ糖はHuh7細胞、HepG2細胞のαfetoprotein濃度に影響を及ぼさなかった。 4.フコイダンによるビオチニダーゼ活性の変動 天然フコイダンはHepG2細胞とHuh7細胞のビオチニダーゼKiを著明に抑制した。 以上の成績から、フコイダンはビオチニダーゼKiを抑制することによって抗腫瘍効果を発揮するものと推察される。
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