研究概要 |
本年度はC型慢性肝炎における形質細胞様樹状細胞(Plasmacytoid Dendritic cell,PDC)のC型慢性肝炎における機能を解析し、肝病変の進展やインターフェロンα(IFNα)/リバビリン併用治療における意義を明らかにすることを目的とした。 C型慢性肝炎患者においては非感染者と比較して、ミエロイドDC(Myeloid DC,MDC)、PDCの数は減少しており、MDCのIL-12p70産生能、PDCのIFNα産生能は低下していた。またナイーブCD4T細胞との共培養により、各DCのヘルパーT細胞サブセット(Th1/Th2)分化誘導能を検討すると、C型慢性肝炎患者ではMDCのTh1誘導能は非感染者と比べて著明に低下していたが、PDCはIL-10産生細胞を強く誘導した。HCV感染者で長期間肝機能が正常に維持されるキャリア群では、MDC、PDCの数は非感染者と同等であったが、MDCのTh1誘導能低下とPDCのIL-10産生細胞誘導能亢進は、肝機能異常を伴う慢性肝炎群よりも顕著であった。また患者PDCとの共培養によって誘導されるIL-10産生細胞は、CD4陽性CD45RO陽性CD25陽性Foxp3陽性であり、調節性T細胞(Regulatory T cell, Treg)の表現型に合致していた。以上の結果よりPDCはTregの誘導を介して肝細胞障害の免疫反応を抑制し、肝病変の進展に抑制的に働いていることが示唆された。 C型慢性肝炎患者に対するIFNα/リバビリン併用療法において、最終的にHCVが排除された著効例では、治療終了後HCVが再出現した再燃例に比べて、治療経過中のMDCのTh1誘導能は高く、またPDC数も有意に高く維持された。したがって抗ウイルス治療によるHCV排除においてもPDCが寄与していることが明らかになった。
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