研究概要 |
グレリン遺伝的多型性の心血管疾患発症および胃酸分泌への影響に関する検討を平成16年度から17年度まで行なった。文書にて同意が得られた健診受診者112名を対象として,エクソン2のプロプレグレリンをコードするC408A領域,エクソン1と2の間のイントロンG274A領域およびグレリンをコードするG346A領域の遺伝的多型性について検討を行なった。その結果,G274A領域およびG346A領域ではいずれの症例も変異を認めずwild typeであり,日本人においてはこれら2つの領域には遺伝的多型が存在する可能性が極めて低いことが明らかとなった。一方,C408A領域のロイシン72→メチオニンの変異について検討したところ,wild typeを68名(60.7%),hetero typeを41名(36.7%),mutant/mutant typeを3名(2.7%)に認めた。C408A領域変異とHelicobacter pylori(H.pylori)感染の有無については明らかな関連性は認められなかった。また,今回の検討では,このC408A領域変異と空腹時血中活性型およびデスアシル型グレリン濃度に明らかな関連性は見いだせなかった。胃粘膜萎縮を含めた上部消化管内視鏡検査所見との関連性についてさらに検討を進め英文雑誌に投稿予定である。この研究を行なっていく過程で,健診受診者での症候性胃食道逆流症の頻度,食道裂孔ヘルニアと動脈硬化との関連性などについて明らかとし,英文雑誌に受理され,掲載または印刷中である。
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